四季を通じて花が咲く国の天然記念物「白子の不断桜」を知っていますか?
オールアバウト三重ガイドの大石ゆうです。
桜の花はパッと咲いてパッと散る潔いもので、その美しさを愛でるためにお花見があります。しかし、白子の子安観音にある桜は、春の桜のシーズン以外でもお花見ができそうな名前の桜の木があります。
白子の子安観音寺には、大正12年に国の天然記念物に指定されている「不断桜」があります。樹齢は50年と古い木ではありませんが、四季を通じて花が咲く野生種のサトザクラという珍しい桜でその原木だそうです。
仕事場の桜の木はもう紅葉していますが、こちらの桜の葉は緑がいっぱいでした。あいにくこの日は桜の花は咲いておらず、残念でした。
寺伝によれば、天平宝字年中(757年~764年)、雷火のため焼失した伽藍跡に芽生え、本尊白衣観世音の霊験によって四季に花絶えないそうです。
杉や松のように緑の葉を落とさない常緑樹の遺伝子がこの桜の木にもあるのでしょうか?
永禄十年(1567年)の連歌師の紹巴が東国に下った紀行文「紹巴富士見道記」では、「白子山観音寺に不断桜とて名木あり」と記されています。また観世流の貞観三年版にある謡曲「不断桜」も、このサクラをうたったものです。
伊勢型紙(伊勢形紙)の模様は、この不断桜の虫食葉がヒントともいわれています。自然の虫食いが型紙のヒントになるというのも面白いですね。